【真の戦士のための合宿免許7指南】
こんにちは。バンブー・ランスです。
バンブーは竹、ランスは槍という意味です。
知っていましたか?
免許!
高校以前は年齢が足りず、社会に出てからは時間が足りない。そんなわけで大学在学中は免許を取るのにベストな期間ですね。
いざ免許取得となったときまず選ぶのが通いか合宿か。
京大近辺には複数の自動車教習所があり、けして悪い環境ではないんですが、いかんせん予定管理が面倒くさい。
講義にサークルにバイトにと色々ある中に、さらに教習所。
座学と実習を合わせるとけっこうなコマ数になり、それをすべて終えるために予定表とにらめっこし、遅刻キャンセル料を取られないよう送迎バスに飛び乗り……
そういうのが出来る自信がまったく無かったので、自分は免許合宿に行くことにしました。すると免許合宿は荒野のメキシコであることがわかったので、後に続く人々のために色々書き残すことにしました。
とはいえ910の構成員の大半は免許を取得済みだったり、既に教習所に入っていたり、そもそも取る予定が無かったり。
誰の役に立つかだいぶフワフワしているので、もし近隣に合宿検討人がいたらこの記事を紹介してくれるとうれしいです。
前置きはここまでだ。いくぞ。
(アドベントカレンダー7日目の投稿です)
① ほんとうにATでいい
アクセルは進む。ブレーキは止まる。
車とはそれでいいのでは?
実際そう思うのだけど、MTと呼ばれる車には上記2種に加えてクラッチという謎のペダルがあり、それを踏むと何かが起こる。つまりパルプンテだ。これは実際のところ、ギア操作をするためのスイッチだ。
車に実際に触れたことがないとギアがなにかわからないだろうが、おおむねルフィがやってるやつと理解してよい。ルフィはギア1(発進用)だけでウォーターセブン編までを戦い抜いた、真の戦士だ。
その点、AT車はギア操作を自動でやってくれる。いちいちギア2!と叫ばないでも蒸気を噴出して戦うルフィがたいへんつよいのはわかるだろう。ATとはそれであり、実際強い。
おれはなんか判断能力の欠如したあほなので意志なくMTを選択したが、運転中のリソースのけっこうな部分がギアの管理やクラッチを踏むのに割かれていた。
しかし運転が上手というのは、狙った位置を狙った速度で走れるとか、適切で迅速な判断とか、正確な駐車のことであり、おもしろ謎ペダルをペタペタする技術のことではない。
教習中にパルプンテの練習をするよりも、そういう技術に意識を向けたほうが有意義だとおれは思う。たまに完璧なギア操作をしつつ上記技術もしっかり習得できるやつがいるが、それはルフィだ。助手席にはレイリーが座っている。自分も最悪の世代である自信が無いなら、難しい。
おれの周囲に免許取得者は数十人いるが、そのうちMT運転技術を実際に活用しているのは2人だけ。
ひとりは実家が農家でMT車によく乗ると言い、もうひとりは車の運転が心底好きなのでギア操作をも愛しているようだ。そのどちらかに該当しないならばほんとうにATでよい。
免許を取って半年くらい経ったが、いまのところMT免許が活躍したのは「今あれ運転しろって言われても絶対嫌ですよね〜」と雑談したときだけだ。
なにかの機会に運転することになるかも、という指摘も間違いではないがなぜ突然のテロリスト襲撃に備えCQCを学ばないのかみたいな話だと思う。確率そして費用対効果の問題だ。
そういう仕事に就きたいとか、周囲にMT者所有者がいて運転機会があるかもとか、そういうレベルになってはじめて検討の価値が生まれると思う。
そうでないならば、ほんとうにATで良い。
② とにかく早く動け
免許合宿はだいたい2週間くらいかかり、いくら暇な大学生であっても講義と並行してその時間を捻出するのは難しい。のでやはり、春夏の長期休みを利用して行くのがスタンダードになる。
各種手続きを進めるにあたり、とにかく早く動け。
2〜3月、8〜9月にそれぞれピークがあり、そのシーズンが過ぎたら即座に次のシーズンに向けて予約争奪戦が始まると考えてよい。「シンデレラガールズ総選挙の終結 = 次の総選挙のはじまり」論法だ。
おれは2月の合宿免許のための手続きを11月頭にやったが、すでにだいぶ埋まっていた。安く魅力的なプランほど当然すぐ埋まる。裏を返せば、早期に合宿先を探すことで好条件が見つかりやすい。3月・9月中に手続きを終えるのがベターだろう。
つまり今から合宿免許を検討するおまえは今この瞬間に人をあつめ、合宿先を決定することでチャレンジ冊子勧誘漫画みたいに一歩先の存在になれる。速さは強さだ。光の速さで蹴られたことはあるか?
③ まずエリアを決めろ
免許合宿に行くことにしたおまえの周辺には同志がいるかもしれないし、いないかもしれない。3-4人のメンバーで宿舎の大部屋を占拠すると車校内で内輪空間を展開できるためすごく精神が楽であるが、そこらへんは好みだろう。ただ車校を探して申請する手続きはまあまあ面倒であるので、同時期に免許を取ろうとしている人がいたら結託するといい。ちなみにメンバーが5人を超えると受け入れ先が若干絞られるようになるので、それ以下に抑えるか、いっそさらに増やして2部屋占拠するといいだろう。
次に決めるのはどこに行くかだ。
教習所は国内に7億校あり、夜行バスの利用まで視野に入れるとほぼ全てが射程圏内に収まる。
しかしだいたいの合宿では初日から運転さえやらされ体力を要するので、夜行バスの利用は避けた方がいいだろう。かといって隣の県とかではちょっと勿体ない感があるので、朝出発の高速バスで間に合うくらいのエリアがいい塩梅だ。
出発地から100〜200kmであればその条件に合致するだろう。
おれの場合、5人の同行者の誰もが行ったことがなく、かつこれを逃したら二度と行かなそうということで徳島を選んだ。
免許合宿中は存外に忙しく、ちゃんとした休日など存在しないので観光等は期待しない方がよい。キコキコ自転車を漕いで徳島ラーメンを食べに行くのが精一杯だった。
たぶんどこの車校に行っても同様だろうから、旅行先にすぐ挙がるような魅力的な県はあえて外すのも良いかもしれない。
(徳島名物として鳴門の渦潮があるが、バスで瀬戸大橋を渡るタイミングで普通に見えてしまい肩透かしを食らった)
④ 生協を使え
免許合宿に行くにあたり、かかる費用は30万円くらいが相場だ。あくまで目安であって、条件とか時期によって±5万円くらいの差額が生じる。当然ものすごい大金であるので、自費で合宿に行く場合は血眼になって安プランを探す価値がある。
その合宿先であるが、ネットを使って探す人が主だろう。実際おれもそうした。
しかしそれは社会人とか卒業直後高校生とパイの奪い合いをすることでもある。そのうえおびただしい量のキュレーションサイトとか宣伝が流れてきて、だんだん正常な判断力が失われていく。
そこで生協よ。
ざっと見た感じ、ネットで提案される多くのプランより一回り安上がりなものが多く提示されている。また、合宿先を調べるにあたっては詳しい人に聞くというのがすこぶる大事であるので、定期的に開催される相談会にはぜひ行くといいだろう。
ネットを使う場合もこの大事ポイントは同様で、各仲介サイトに設置されている電話窓口には一度かけあってみるとよい。
おれが探していた『男5人・自炊プラン・11月時点で参加可能』というのはけっこうな茨道で、ただネットの海を泳ぐだけでは見つからなかった。電話窓口にあたってみてやっと発見できたので、そういう難条件を抱えている場合は特に相談をすべきだ。
⑤ 自炊プランは悪かない
合宿中、自炊する(そういう設備のあるところに行く)か外食で済ますかというのはけっこう大きな決断である。
おれは自炊プランを選んだ。なんか2週間ずっと外食し続けるのはなんか怖いし、たぶんこっちの方が楽しいだろうと思ったからだ。
その判断はだいぶ正しく、もつ鍋や角煮、寿司などを3食モリモリ食べ、さらに酒まで含めて食費は1万円程度で済んだ。
ただし、自炊しませんかとおれが言い出した手前もあって、全体の半分以上は自分で担当したのだが、5人の腹を満たせるものを1日3回作り続けるのはまあまあなプレッシャーである。自分ひとりのときと違って大失敗したものを出すわけにもいかない。
幸いにも、おれの場合はるはという人類最偉の男がおり、おれが死んでいるときに夕飯をこしらえたり、誰より早起きして味噌汁を煮たり、そういう偉いことを全てしてくれた。ゆえに、おれが言える最大のアドバイスはるはを連れていけなのだが、既に免許を取り終えてしまったようなので、適当にジェネリックるはを見つける必要がある。
あるいはおまえがるはになれ。
ともかく、料理可能者は最低でも2人必要だと思う。
1人でもまあ絶対的不可能ではないはずだが、その1人はけっこうな重責を期間中ずっと負い続けることになるだろう。
ここまで言うと外食プランが魅力的に見えてくるが、けして完全ではない。
おれの行った車校では昼食が毎日ちっちゃい仕出し弁当だったし、夕食は地元限定の金券を渡され適当にやれというシステムだった。
たしかに楽ではあるのだが、値引率はたかが知れている。金券を使えないチェーン店も多い。まだ肌寒い2-3月に合宿に行くなら、毎日冷えた弁当を食べるのはまあまあ堪えるだろう。
とりあえず自炊プランにして元気があるときだけ自炊し、そうでないならおとなしく外食というのが折衷案として挙がり、これはけっこうおすすめできる。近場にスーパーがあるなら総菜を買って米だけ炊くとかもある。
また、大規模な教習所の中には施設内に食堂を併設しているケースもあるようで、そういう世界での生活は未知数だ。冷や飯を食う恐怖からは解放されるが、気軽な飲酒とか、食事中にアニメ視聴とかそういうのが許されないのは外食プランのさだめだ。
少なくともおれの場合は、食事中にカパカパ酒を飲めるのが大きな精神的支柱だった。カリキュラムが進むにつれ、作るものの味がどんどん濃く、にんにくの消費量が増えていった。そういうことである。教習中は理不尽に晒されることが少なからずあるので、食事をガス抜きとして活用できるか否かはとても重要である。
⑥ ネットの評判は信じたり信じなかったりしろ
人生で2回免許をとるやつは、ほとんどいない。
ゆえに違う教習所に通ってサービスの質を比較できるやつはいないし、そういうやつの声を確認したうえで教習所を選ぶのはまず不可能。
そういう原理があって、ネットの評判から教習所の質を推し量ることはすげ〜〜難しい。誰に当たりやすい・当たりにくいの偏りがどうやらあるので「狂人に怒鳴られました」と「菩薩に懇切丁寧に教わりました」がどちらも事実として共存しうる。
HPや資料の情報はとうぜん欺瞞まみれなので信じ切るのは難しい。メキシコに食べログはない。すでに教習を終えた知り合いから感想を聞くのも良い選択肢だが、やはり複数校を見比べた訳ではないのでバイアスがかかっているし、さらに教官の善悪は本人の運転スキル・相性の影響を強く受ける。
改めて免許合宿は未開の荒野だ。
信用できる判断基準はなにひとつ無いがGoogle mapで★3.0だったおれの合宿先はたしかに★3.0という感じだったので、案外信頼できるのかもしれない。
みんなはどうおもう?
⑦ Fire Stickは七難隠す
たぶん教習所によるんだろうが、おれの教習所は★3.0だったので、日々夜には精神がスラムになっていた。「ボケ」「アホ」となんども怒鳴られることで、人の精神はスラムになる。
そういうとき、アニメが効いた。
複数人で合宿にいき、自炊プランを選ぶ前提のうごきだが、食事中に1クールで終わる丁度いいアニメを観る。そういうことをしていた。これは大変よく、アニメはだいたい20分ちょっとで区切りがつくからちょうどいい息抜きになるし、視聴中はいわゆる鑑賞会であるので、リアルタイムで感想を言ったり叫んだりテレビ前にポジション・ゼロを用意したり、そういうアトラクティブな楽しみがある。わかるか。
Fire Stickはおまえにそれを許す。これはコンセントとHDMI接続ひとつでTVと各種配信サービスをつなげられるすぐれもので、dアニメとかプライムビデオとかYouTubeも見れる。
息抜きのアニメはもちろんだが運転指南YouTuberをみんなで観たり、学科の問題を解きながらサメ映画をたれ流したり、そういうところでも活躍した。しかし合宿末期は全員摩耗してきており、自分たちより過酷な環境の人々を求めて日生学園とかレンジャー訓練を観ていた。ずっとだ。きんにくTVも観た。あれは一種、レンジャー訓練とかより細く長い地獄に身を置いた男のいきざまだからだ。わかるか?
ともあれ火棒のよさは十分つたわったはずなので、行く前に買うとよい。セールがあると1000円代で買え、合宿以外でもたいへんべんりである。
だいぶながくなったがこんなところだ。
おれ自身だいぶ運転がへたであり、終始怒鳴られながら教習を受けたとか、そもそも狂人を担当として引いてしまったとか、そういうバイアスがきっとかかっているんだろうが、上に書いたことを覚えておいて損することはない。けしてだ。
あと晴れて合宿を終えたあと、籍を移したおまえは京都の免許センターに行くはめになるが真のあほ施設なので一切の信用をしないほうがいい。車で行くときの倍以上の時間をかけて電車に乗る必要があるし、当然払うんだがみたいな雰囲気で進められるなんかの会員権は一切の効力がなく、なんかちんけな緑の免許ケースだけ渡されて1000円以上取られる。これは、あほの勲章だ。たいていの人は免許を財布とかカード入れにしまうので、これ以上ケースはいらない。過剰包装だ。冷静になってほしい。「やめときます」と言うとゴミ溜めみたいな視線をあびせられるが、たぶん二度と合わない相手なので無視してよい。
さいきん旅行にいき、そこで運転をすこししたが、やはり公共交通のみ使う旅行とは自由度が段違いなので良かったし、運転自体たのしかった。免許はとれるなら取ったほうがいい。取ったなら、たくさん帰省して運転機会をものにするとよい。おれは時節がいろいろあり一度もできていないが、同年代で運転がつよいやつはだいたいそうして訓練を積んでいる。タフな戦士は実家でこそ養われる。あとそうやって運転経験を積んだら、ぜひ助手席でいろいろ教えてくれるやつをやってください。よろしくね。いじょうです。あしたの担当は1回生のフカ次郎です。たのしみですね。
鴨島自動車学校はおすすめしない。
(おしまい)