しさく1662

こんにちは、12/23の910プロ アドベントカレンダーの担当は二度目の登場となるカズラです。

 

今回も何を書こうか悩みましたが、今日12/23の天皇誕生日今上天皇の退位に併せて祝日ではなくなる、という話を聞き、時の流れの早さをまたもや痛感しました。先行きの見えない感じ、とても苦手です。そういえば明日はクリスマスイヴですね。

そんな感じで創作です。めちゃくちゃ拙い文章を垂れ流します、ごめんなさい。

 

私の好きな飲み物はカフェモカです(訳:この創作はカズラの想像によって書かれたものであり、実在する人物・場所とは関係ありません)。

 

 

 

しさく1332

ある男の日記(一部抜粋)

 

憧れの大学へ来た! 平日に来たから人が少ないだろうと思ってたけど、意外と多かった…。お昼時だったからかな? でも、立派な大学生がたくさんいた。これから勉強をきちんとして、ここに入学できるようにしたい! (15)

 

入学式を終えて、学食に来た。教科書販売もそうだったが、ここも人がとても多い。何とか入れた大学で、何とか友人も作り、今大学生活の一歩目を踏み出しているところだ、という実感がわいている。周りには目をキラキラさせた高校生もいる。三年前の自分から見られているようで、少しこそばゆい気持ちになった。 (18)

 

久々に食堂に来た。そもそも授業自体出るのが久々で、教師の話はほとんどわからなかった。時間をずらして来たおかげで人はまばらだ。白い髭を無造作に蓄え、流浪者然としたおじいさんが端の方に座っている。真ん中の方にはスーツを着た男とパッとしない大学生が向かい合っていた。自分には関係のないことだ。大して美味しいとは思えない食事を摂り、友人の家へ帰った。留年は何とかして避けなければならない。必死に勉強しよう。 (20)

 

友人の協力もあって大学卒業・就職が決まった。明日が卒業式だ。入学式の時に一緒に並んだ友人とまた食堂に来た。今日も今日とて、長い行列ができている。自分がこの食堂に来ることはもうないだろう。人で溢れかえっている割にはとてもおいしいわけでもない、この食堂に。 (22)

 

会社で営業に異動させられた。向いている仕事だとは思えないが、やるしかない。課題としてSNSで大学生を勧誘するということがある。さっそく勧誘できた一人は、学食で会う約束を取り付けた。彼は母校の学生だ。実は久しぶりに学食に行けることを少し楽しみに感じている。 (34)

 

会社のワークショップの担当者になってしまった。会場を探す必要があるが、確か母校の大学にはケータリングシステムがあって会場には適切だろう。それより、受験直前にも関わらずインフルエンザにかかった息子の体調が心配だ。下弦の月が地平線から昇ってきていた。仕事の山は、まだ消えそうにない。 (45)

 

卒業からちょうど30年ということで大学の同窓会が開かれた。会場は大学の食堂だ。立食パーティーの体裁で行われていたが、食堂の方のご厚意で30年前のメニューを再現してくださっていた。久しぶりに会った友人たちのうち、幾人かは会社の重役になっていた。自分もそこそこのポジションに就けた。家庭を代償にしてしまったが。 (52)

 

食堂が改装されたという噂を聞き、友人を誘って訪れた。場所こそ変わっていないものの、すっかり様変わりした学生食堂があった。味は格段に上がっている。妻に逃げられてからというもの、インスタント食品ばかり食べているのもあったかもしれない。大学生たちはあのころの自分たちと変わらず、無感動に食べている。 (66)

 

今日もまた学生食堂に来てしまった。ちゃんと学生の昼休みと被らないようにして来ているが、それでも私に対する奇異の目は多い。何しろ白髪白髭を一切手入れしていない、ぼさぼさとした状態で来ているからだろう。それでも、比較的廉価で美味しい食事を摂れるので何度も来てしまうのだ。どうせ家に帰ったところでできることなどないに等しい。友人たちも皆、外国かあの世へ旅立っている。お迎えは大歓迎だ。今か今かと待ち望んでいる。

かつての私のように死んだ目をした学生が1人、私のはす向かいに座った。 (78)

 

 

 

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