【この記事は910production 2025新歓アドカレ 8日目の記事です。】
本記事のテーマは古本の修理です。文字通りの本題は「・古本とその修理について」から入ります。
目次
- 目次
- 導入や自己紹介など
- 鷺沢さんの叔父の「書店」について
- 鷺沢さんに持って欲しい本(脱線)
- 古本とその修復について(注意喚起あり)
- 準備物
- ノドのやぶれ・表紙の取れた文庫本の修復
- ブックカバー作成
- 外れたページの修復
- ページとページの間がモーセ…やぶれた背芯紙の修復
- 失(敗)。ー酸性紙の劣化についてー
- まとめ
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導入や自己紹介など
文章上では饒舌だけれど、対面では「あっ」が必ず文頭にくる城星夜半と申します。 明治生まれの吸血鬼です。魚は好物ですが動物の肉は可能な限り食材にしません。
書物は素晴らしいものです。死んだ人間の声を蘇らせてくれます。言語さえ途絶えなければ、何千年後であってもです。書物が持たざるを得ない、対話できないという弱点は、一転して思考を保存し生きながらえさせる利点でもあります。*1
本についての本について少しだけ申しますと、ボルヘスの「書物」という随筆では、書が信仰の対象にもなったみたいな記述がありましたが、残念ながら詳細を記憶しておりません。また、ソクラテスが書き物を残さなかったのは対話が彼の方法であったとともに、書が人間の堕落にもなりえたから、人間の知力の低下を招くからという話もあったと思います。その出典さえ思い出せない、知的能力ルシファのこの私こそ、ソクラテスのいう堕落の例証です。
書は一種の外部記憶装置ですが、もしバトーさん*2みたいに電脳化して情報を取り込んだらどうでしょう、一瞬で書物の内容を取り出せてもあくまで「外部」であって、それは記憶ではないものなのでしょうか。技術の進展を単に楽天的には考えられません。ソクラテスの危惧を超えた深刻な堕落に陥らざるを得なくなるのでしょうか。また、空間的に延長を持つ書籍と、持たないデータとは、人間と情報との関係についてその特質に大きな差異があると思います。書籍だけの話ではありませんね。脱線。
哲学の専修ではありませんが、こういった抽象的な議論は好きです。ただ残念ながら鷺沢さんのように観測者不在の問題などに、コンビニ感覚で踏み込めるほどの能力はありません。*3
では最後に百万遍周辺の店舗紹介。欧文堂。古本屋です。積み上げられた書籍の壁は、勘定場を要塞化しています。
自己紹介が長くなりました。つまり一行で要約すると、シンデレラガールズでは鷺沢文香さんが好き、ということです。ちなみにシャニマスだと風野灯織さんが好きです。よろしくお願いします。

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鷺沢さんの叔父の「書店」について
鷺沢さんは叔父の「書店」に下宿し、大学へ通いながらアイドルの仕事をこなしていらっしゃいます。プロデューサーに勧誘される前はそこでアルバイトをしていたけれど、今でもために手伝うとかなんとか。その「書店」とは、2024年9月ssrガシャの「夜想に泳ぐ華」コミュから、古書店であると見て間違いありません。

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鷺沢さんに持って欲しい本(脱線)

以上。
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古本とその修復について(注意喚起あり)
ようやく本題でございます。ここで、メイド鷺沢さんを投入。

限定コミュでは、英国で撮影した司書メイド*4らしいのですが、修理している本は装飾の豪華なものばかりです。印刷史に関しては無知で恥ずかしいのですが、本が高価であった時代か、その名残で来客に知識階級のステータスとして見せびらかす役割をもつのか、だからメイドさんもやとえるのか、など撮影の背景を想像してみたりみなかったり。
実際、古本は飾るにもヨシです。まさに先の『海潮音』はオシャレですよね。しかし、やはり実際に手に取って読んでみるという体験は本の目的の最たるモノですから、旧字体であっても埃のかぶった古臭い言葉遣いであっても、最悪意味がわからなくても、死人の声に耳を傾けることは推奨したいです。何様。すみません。つまりわたくしの古本趣味の目的は、あくまで使用に、実際に読み込んで活用することにあるということです。この点、以下注意喚起をいたします。
!注意!
わたくしは古書を仕事とするわけではなく、所有および修復の目的は「使用」にあります。わたくしの生きている間、すなわち人類の血が途絶えないあと数十年の間だけもてばよいというスタンスです。覚悟です。覚悟が必要なのです。現状維持による価値の保存ではなく、研究に使用しその価値を何倍にも上げんとする覚悟が。
加えて学生でありまた裕福なわけでもないので、専門の用具は使用できず、日常の品々あるいは百均やホームセンターの廉価品で代用します。
修復対象には大正時代出版のものが含まれています。
素人がそうした古本を触ることがどうしても許されないという方、もしくはわたくしのこの覚悟が信用に値しないと疑われる方は、回れ右してブラウザバックを推奨いたします。

さて、今回修理しますのは、目次にありましたとおり、①②本と表紙の間の「ノド」と呼ばれる部分、③外れたページの修復、④やぶれた背芯紙の修復、そして⑤ステープラー(ホッチキス)で留められた本の、保全のための綴じ作業(断念)になります。
本の構造
ノドなど、本の部位の名称につきましては下画像を参照してください。まさに上画像の「美しき」鷺沢さんは、ノドが破れてしまった本をなおしていらっしゃいます。

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準備物
- でんぷんのり*5
- 筆(中小高校で使用した美術の平筆…は実家だから、やわやわ歯ブラシを加工して代用)*6
- 和紙
- クッキングシート(でんぷんのりがくっつきません。机の下にもひけます。ブックカバーにもなります)
- プリンカップ(中身はおいしくいただきました)
- プラスチックスプーン(プリンを購入した時に頂戴した。ヘラの代用)
- 串(惣菜が刺さっていたものを、削って繕えた)
- ペンチ
- 裁縫針(中小高校の裁縫で使用したものを使用)
- 糸(同上。細く白い手縫い糸を使用)
- ロウソク(糸の補強に、すりすりします)
- 不要な封筒
- 定規
- カッターナイフ(ハサミは使用しませんでした)
*鷺沢文香さん本人とメイド衣装がそろえば確実な作業が期待できましたが、残念ながら入手できませんでした。最も必要なものでした。

さらに準備
でんぷんのりは少量の水に溶きます。『書籍の修理 とらの巻』には目安としてドレッシング程度がちょうどいいと書かれていましたが、個人的には水はもっと少なく、風邪の日の鼻水くらいドロッとしていていいと思います。
では、はじめましょうか。
- ノドのやぶれの修復
まず修復いたしますのはこちら。


大正2年(1913)出版で、わたくしの所持する本の中で一番古いです。
軽微な耳の破損が見受けられます。この程度なら、でんぷんのりを串につけ、やぶれた耳の隙間に塗るだけですみそうです。
問題はノドです。

上画像ようにノドが破れトレカ買っています、失礼、取れかかっています。幸い中の白いアミアミ(寒冷紗)や支持帯は無事でありましたので、見返しのノドの補強だけですませます。

和紙を上写真のようにノドを覆うくらいに切り取り、でんぷんのりで接着。ページの間にクッキングシートを挟み、本を閉じて重しを置き1日後。

不恰好ですが…ヨシ!(強引)
でんぷんのりであれば、また剥がれた時に修復しやすいのです。破損前提の修復です。次!
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ノドのやぶれ・表紙の取れた文庫本の修復
先ほど同様ノドの補強になります。次の患者。

症状を教えてください。

あーパックリいってますね。
また和紙での補強となります。
でんぷんのりを塗り、クッキングシートを挟み、重しを置いて1日。

のりが他のものにつくと面倒なので、クッキングシートを患部に当てるのもあり。乾燥が遅くなるかもですが。
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ブックカバー作成
文庫本のの患部が乾ききる間に、クッキングシートでブックカバーを作成してみましょう。まず、幅30センチのクッキングシートを20~21cm程度に切ります。折って、カッター(ペーパーナイフ)で。




と、クッキングシートで作ったものの。百均の30cm×5m、文庫本で20cm切り取るとしたら、25冊分を作成できます。測って切って折るだけです、簡単です。
ところで2025年現在、同じく百均にて12枚入りの透明なクリアブックカバーが売っていました。同じ数作るなら、およそ倍の値段になります。
しかしクッキングシートで作るとなると、簡単で短時間とはいえ時間はとるわけですし、本のタイトルが見えにくいです。タイトルの張り紙をクッキングシートカバーにつけるにしても時間がかかります。また、文庫本ならまだしも、本のサイズが大きくなりますと一回分のクッキングシートも大きく消費するので、コスパはさらに下がります。
何百冊と作るわけでないなら、クリアブックカバーを購入しても良いと思います。(ならばなぜ作った…*7)
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外れたページの修復

重症です。糸綴じと言いまして、4枚くらいを中心で折りまとめ、折り目に糸を通し一つのブロックにし、それをまとめ背芯紙で固定しています。文章で書いてもよくわからないと思いますので、実際に修復していきましょう。

糸が劣化し、納豆の糸を切るよりたやすくちぎれます。この両端の穴を再利用しましょう。
使用する糸はロウを擦り付けます。補強のためだそうです。針の穴に糸が通りやすくもなります。ラクダは無理でした。

一本の糸の両端に針をつけ、まず取れていないブロックに通します。

取れていないブロックへ、外からうちへ通します。

留めます。留め方の記載は手引書になかったので、固結びにしました。違っても切ってやり直せますしおすし。
上画像は下側ですが、上の方も同様にして留めます。
古本の紙は破損しやすく、糸を強く引けば歯でも付いているみたいに簡単に切断されます。力を入れすぎないようご注意ください。
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ページとページの間がモーセ…やぶれた背芯紙の修復
次に、ページのブロックを支えるを背芯紙です。

背芯紙に必要な長さを、不要な紙の切れ端で計測。

背芯紙はクラフト封筒を再利用します。
そしてクータという、背と背芯紙を支える筒を作ります。もともとこの修理対象の本には付いていなかったものですが、数々の手引書で当然作るように書いてあったので作ってみます。
写真のように切って…


両端を重ね、のり付けし、横長トンネルを作ります。

丸い方が背にくるようにクータを挟みこみ、背芯を置いてのり付け。

ずれたかもしれません。やすり等で削るらしいのですが、またほころびそうなので今回は放置。乾燥。

こころもとないので、ページが少なくて浮く側(600ページの本なので上画像は右側)に台座を用いて、背芯紙の接着の負担にならないよう使用することにします。
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失(敗)。ー酸性紙の劣化についてー
以下失敗談です。引く時は潔く。(い…いいわけです…)
戦中・戦後すぐは、たまにステイプラーで留められている本を見ます。物資の不足で出版さえ困難であった時代ですから、簡単な方法が取られたのでしょう。仕方ありません。ステイプラーを除去し、穴を再利用して糸で閉じます。

ここで問題発生。
映画『風の谷のナウシカ』冒頭のユパ様の握った人形のように、紙を触っただけでくずれそうです。
慎重に読む分は問題ありませんが、ステイプラーを抜くには工夫が必要そうです。
1980年代に大きく問題になる前は、書籍の紙に酸性紙が使用されていたらしく、経年劣化でパリパリと壊れてしまうそうです。現在では中性紙で保存しやすいとかなんとか。
本書はその一つかと予想されます。
戦中戦後で素材が悪かった、というのも大きな原因でしょう。
なので、この場合どうするかまた考えます。今回は保留です!
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まとめ
本記事では、鷺沢文香さんの紹介と古本修理の実演をしました。
真面目に書いてしまってすみません。
今回は紹介しませんでしたが、でんぷんのりと和紙で破れたページもなおすことができます。
龍頭といったら過大評価ですが、時間がないので蛇尾、脱皮した抜け殻のようになってしまいました。それでも、寸毫でも鷺沢さんのよさを知っていただけましたなら。
足りないところは多いですが、今日のところはこれにて失礼します。
- 参照(雑)
(2017)『図書の修理とらの巻』
(2019)『続・図書の修理とらの巻』
↑この二冊が一番参考になりました.
(2005)『防ぐ技術・治す技術ー紙資料保存マニュアルー』
(2019)『図書館のための簡単な本の修理』
↑児童書の修理が主眼なようです。
*1:はい、「チ。」、面白かったです。バデーニさんいいですね。
見たのはアニメです。たしかにアニメ「チ。」では漫画演出をそのまま動かしているだけであったり、一部の舞台装置やモブには不自然さを感じさせるものであったりと、アニメ化の意義が十分に発揮されているとは言えませんが、しかし原作のテーマは尊重されていました。
*3:鷺沢さんのソロCDオーディオコメンタリー
*4:知らない概念。好きと好きをくっつけましたー、みたいな頭の悪い天才的発明。
*5:匂いが記憶に残りやすいというのは有名な話でありますが、でんぷんのりを嗅いだことによる幼稚園児時代の憧憬死には注意してください。まぁわたくしは…明治の生まれなので…。何人もの犠牲者が出ています。
*6:今回歯ブラシで代用しましたが、筆のほうがよかったです、おそらく。
*7:一部の古本屋では、クッキングシートをカバーの代わりにしていらっしゃいます。古本を購入すると付いている、劣化して茶色いパリパリのやつ、グラシンペーパーといいますが、あれの代わりでしょうか。どこに売っているのでしょうか、現在の値段が気になります、グラシンペーパー。