アイマスは宇宙

みなさんこんにちは。

アドカレ最終日(12日目)担当、なぜかもうM1のK-Enterです。

唐突ですが、みなさんこれを見てください。

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「星環世界」アニメPV*1から。

これは明らかに宇宙空間にいますね。

さて、宇宙空間で活動しようと思ったときには、どういう作用を考えなければならないでしょうか。

宇宙空間では4つの相互作用の内、よく目にする範囲において重力が最も主要なものです。*2

そこで今回は重力、特に古典の完成された(と現在は思われている)重力理論である一般相対性理論について、その原理と結論のみに焦点を当てて記事を書きたいと思います。*3

今回は時間が足りなかったのと、普通に力不足なので数式は本当にほぼ出てきません。

特殊相対性理論を全く知らないと、「なんでそうなった?」って思えるものも出てくるのですが、高校物理と特殊相対性理論の原理*4だけでも知っていれば、ある程度は読めるように多分なっていると思うので、読んでみていただけると嬉しいです。

ところで現在910プロ勉学部*5ではもうそろそろで終わりそうですが、電磁気*6の自主ゼミが行われています。*7

続いて別のをやる可能性がないわけではないので、興味のある方はどうぞお声がけください。

また、最近ゼミ欲だけが以上に高いので、なにかあれば声を掛けてくだされば嬉しいです。

恐らく物理・難しすぎない数学なら参加できると思います。

一般相対性理論

今回は短めですが一応目次。

また、愚かにも一般相対性理論を少し説明しようとしているのですが、全く勉強したことがないわけではないとは言え、あまり自分自身でもしっくり来ていない点が多いので、誤りを多分に含み得ます。

ご了承ください。

原理

Einsteinは自身が発表した特殊相対性理論が重力を考慮に入れられないために、特殊相対性理論を拡張した一般相対性理論を考えました。

ここではまず、なぜ特殊相対性理論が重力を扱えないのかを考えてみます。

等価原理

特殊相対性理論は慣性系を前提とした理論でした。

つまり、慣性系というグループが存在して、それらには区別がなく(特殊相対性原理)またその上では光速度が一定(光速度不変の原理)だということを原理としていました。

重力を考えたときにそのような原理を取ることが可能かというのが問題です。

ここで例えば高校で重力の大きさが変わらない地球表面での運動を考えたときのことを思い出します。

このような場合は重力加速度と同じ方向に同じ大きさで加速している系を考えることで、慣性力を含めて合力を0にする座標系を取ることができました。

ですが、よくよく考えるとこれは不思議なことです。

今言ったような方法で重力を消すことができるのは、運動方程式

 \newcommand{\dif}[2]{\frac{{\rm d} #1}{{\rm d} #2}} \newcommand{\pdif}[2]{\frac{\partial #1}{\partial #2}} \newcommand{\ddif}{{\rm d}} \displaystyle m\dif{^2}{t^2} \left(\vec{x} + \frac{1}{2} \vec{g}t^2 \right) = m\vec{g}

すなわち

\begin{align}
m \dif{^2 \vec{x}}{t^2} + m \vec{g} = m \vec{g}
\end{align}

に由来します。

しかし、この左辺と右辺の質量  m は本当に同じなのでしょうか?

右辺の質量は物体の「動かしにくさ」を表す定数(これを指して慣性質量  m_{\rm I}と呼ぶこともある)で、右辺の質量は重力相互作用の「働く強さ」を表す定数*8(これを指して重力質量  m_{\rm G}と呼ぶこともある)であって、素朴に考えると全く異なるものであるはずです。

これらの値を用いて先の運動方程式を書き直すと

\begin{align}
m_{\rm I}\dif{^2}{t^2} \left(\vec{x} + \frac{1}{2} \vec{g}t^2 \right) = m_{\rm G}\vec{g}
\end{align}

すなわち

\begin{align}
\dif{^2 \vec{x}}{t^2} = \left( \frac{m_{\rm G}}{m_{\rm I}} - 1 \right) \vec{g}
\end{align}

となります。

先程のように素朴に考えた場合では、この  m_{\rm I} / m_{rm G}というのは全くどのような値になるか分からず、物体によって異なり、そのために物体によって異なる運動が起こると考えられます。

しかし実際は、今まで観測されてきた範囲内では、このような加速度系を用いれば、慣性力によって全ての物体から重力を消すことができます。

つまり

\begin{align}
\frac{m_{\rm I}}{m_{\rm G}} = 1
\end{align}

となっていて、慣性質量と重力質量は全く等しいと結論付けられることになります。*9

Einsteinはこれが重力の本質であると考えて、原理として採用しました。

慣性質量と重力質量は等価である。

僕がこれを最初に見たときの感想は、覚えてはないんですが「そして?」という感じだったと思います。

これだけ見せられても、だからなんなのかあんまり分からない気がします。

しかし恐らくこれの言っていることは、慣性力と重力が等価であり、本質的には同じものということになります。

実際には、慣性力は各点で全て同じ方向、同じ大きさで働きますが、重力は各点によって方向、力の大きさが異なるという違いがあります。

しかし、ある1点の近傍だけ、例えば質点の運動などを見ている限りでは違いには気づけません。

このことを踏まえると、重力の影響下では光速度不変の原理が成り立ち得ないことが分かります。

簡単に説明するために、また地球表面で一定の重力加速度  \vec{g} が働く場合を考えます。

この系は等価原理によれば、無重力な場所である慣性系に対して(ここでは特殊相対性理論が使える)一定加速度  -\vec{g} で運動している系と等価になります。

ここで慣性系で  \vec{g} に垂直な方向に流れる光を考えます。

この光は慣性系ではもちろん一定速度  c で運動しますが、加速度系では  \vec{g} 方向に少し曲がって見えるはずです。*10

この光が曲がる加速度系が、一定重力加速度のある系と等価であったことを思い出すと、先に述べたように重力のある場合には光速度不変ではありえないことが分かりました。

今述べた例は一定重力加速度の場合になっていますが、一般の重力場の場合でも考えたい各点において、そこでの重力に応じた加速度系を考えることで同じことが結論付けられます。

局所慣性系の存在

ここまでで、慣性系でない座標系を選べば重力の効果を考えられることが分かりましたが、そのような系でどうやって4次元時空の距離を定めるかを決めなければなりません。

そこで今までとは逆に、重力場のある系が加速度系と等価であるならば、それらの系から逆方向に加速する系を考えることで慣性系を作れるはずということを用います。

もちろん一般の重力場においては、ある1点において慣性系になるだけですが、その点だけは慣性系であるはずです。

したがって、各点において適切な座標(重力方向に適切な大きさで加速する系)を選択してやれば、それは慣性系すなわち光速度が不変の系(これは局所慣性系と呼ばれる)になるというわけです。

このことを用いて、各点各点において局所慣性系を選び、そして4次元時空の距離を定めてやることにします。*11

これも時間、距離の大きさの定め方に関する要請なので、原理として取り上げておくことにします。

局所慣性系の存在
各点において光速度不変となる座標系が存在する。
一般相対性理論

ここまでで、特殊相対性理論の原理の1つ、光速度不変の原理を重力も考慮したときの形に書き換えることができました。

あとは残っている原理、特殊相対性原理だけです。

こちらは元々慣性系に対してだけ、物理が変わらないことを求めていましたが、今回は今まで見てきたように、慣性系だけではなく様々な座標系を考えなければなりません。

しかし各点でどんな系が選ばれたかに依らずに、同じ法則が成り立つだろうとEinsteinは考えたわけです。

これも、局所慣性系はそれによって距離が定まるという点で特殊ですが、それ以外の系に特に特殊なものはないだろうということから、その系がどのような状態を知れない状況でも同じ法則を用いられるという点で妥当だと考えられるわけです。

したがって特殊相対性原理の「慣性系」という文言を、「あらゆる座標系」に書き換えた、一般相対性理論を採用することにします。

一般相対性原理
あらゆる座標系において、物理法則は同じ形で書き表せられる。*12
原理まとめ

長ったらしく書き連ねたので、ここで簡単に原理についてまとめておきたいと思います。

  1. 等価原理
    1点を見る限りは重力のある系と加速度系の見分けはつかない。
  2. 局所慣性系の存在
    各点において重力場を消す系が存在して、そこでは光速度 c
  3. 一般相対性原理
    あらゆる座標系において物理は同じ。

Einstein方程式

ここまでの要請と、重力場が弱いときには近似的にNewton重力になるはずであるということから、数学を頑張ると一般相対性理論において重力(もしくは慣性力)を表す計量(幾何学量)を求めるEinstein方程式が得られます。*13

ここではそのEinstein方程式を記すだけにして、記事を終わりたいと思います。

Einstein方程式
\begin{align}
G_{\mu \nu} + \Lambda g_{\mu \nu} = \frac{8 \pi G_{\rm N}}{c^4} T_{\mu \nu}
\end{align}

左辺:時空の曲がり方(重力の強さ)。

右辺:物質の量(物質が存在すると重力がある)。

 g_{\mu \nu}:これが計量です。

 G_{\mu \nu}:Einsteinテンソル。計量からできています。

 \Lambda:宇宙定数。有名な宇宙項とかいうやつです。*14

 G_{\rm N}ニュートン重力定数

 T_{\mu \nu}:エネルギー・運動量テンソル。物質に関する量。

参考文献

  1. 内山龍雄。アインシュタイン選集 2。共立出版、1970。*15
  2. 中嶋慧、松尾衛。一般ゲージ理論と共変解析力学現代数学社、2020。

*1:https://www.youtube.com/watch?v=e9rBoNCLeo4#t=43

*2:実際は電磁現象も起こりまくってますが、そこは気にしないでください。

*3:本当はもっといろいろ書こうと思っていたのですが、思った以上に他のことに時間が吸われたためこの形式となりました。クリスマスアドカレがあったら補完部分をかけたらいいな~。

*4:慣性系では光の速さが変わらないとか。

*5:そんなものはない。

*6:物理M1なのにどうして……。

*7:パット声をかけたところ会員以外の人が集まらなかったからこうなっているだけで、別に会員に限られているわけではありません。

*8:分かりやすく言うと、電磁相互作用における電荷と同じ働きをするものです。

*9:実際は比が全ての物体に対して同じなため、等しくなるような単位系を選べるという説明もしなければなりませんが、ここでは簡単のためこのような形式にしました。

*10:もちろん  \vec{g}程度ではほとんど分かりませんが、これがNewton重力では不足していることに長く気づけなかった原因になります。

*11:このことから計量等と言った幾何学的な量と結びつくのだと考えられます。ここらへんのことも書きたいと思っていたのですが、前述の理由により次回以降の自分に投げることにします。

*12:これはリーマン幾何学におけるテンソルを用いて表されるのですが、それも他の諸々同様に次回以降に回します。

*13:こうしたら出るという方法を1つは知っているのですが、そこまで納得はできておらず、次回以降書くときのために、同じ方法をもう少し数学的にしっかり考えたり、他の方法などを調べておきたいな~。

*14:これは入ってないこともある。

*15:よくない書き方ですが許して下さい。