辞世の句

だっしゅです。

唐突なんですけど、本っ当に唐突なんですけど。

 

 

私、『二階堂千鶴』って字面が好きなんですよ。

あ、いや、キャラクターとしての、人物像としての「千鶴さん」ももちろん好きなんですけど、それを抜きにしても『二階堂千鶴』っていうこの5文字を実際に書くのが好きでして。

 

 

こう思うに至った経緯とかは後にひとまず回すとして、どの辺が好きなのかという点について書き出していこうと思います。
前提条件としてはこの5文字を
・縦書き
・楷書
シャープペンシル
で書いてます。

 

 

まずは1文字目、『二』なんですけど、一見ただ普通に横画を二本並べるだけの簡単な文字に見えて、その横画がぶれないように、だとか二本の長さ、位置関係、傾き、反り方などなどの要素が絡み合って、実際に綺麗に見えるようになるんですよね。たった二画なのに不思議なもんです。

 

 

続いて『階』について。
1文字目とはうって変わって、漢字自体に要素が詰まっているんですが、初っ端にこざとへんを少しコンパクト目に書きつつ、続いて「皆」の上半分、「比」は左右の「ヒ」に少し強弱をつけつつ、でも全体として調和を崩さないようにするこの調整が面白い。それでいて、その下に続く「白」の横幅を気持ち抑えめにして、下がすぼんだ台形のようなシルエットの「皆」を完成させる。そのときに下半分の「白」は、横画同士の間隔を等間隔にするという書写の時間とかに習うアレを意識すると見た目の印象が格段に変わるので、ここをうまく書けるかにはチェックポイント的なものを感じて面白いんですよね。
さらに言うと、最初のこざとへんの書き出し位置と大きさを上手く考えないと文字同士の縦書きのバランスが崩れてしまうのも難しいですがチャレンジのし甲斐があって好きです。

 

 

3文字目は『堂』。
ここでようやく縦書きにおける主役とも勝手に考えている、「中央を通る縦画」を含む漢字が登場します。具体的には1画目と10画目なんですが、ここを意識できれば少なくとも上2文字とのバランスはとれるのでそこは楽です。この字の場合個人的にポイントが高いのは冠の左右です。特に右側。
ここの左払いをザッと力強くやるあの瞬間って大好きなんですけど、あんまりやり過ぎると次に中に「口」を書くのに邪魔になるんですよ。そうするとバランスが崩れちゃうので、上手く書けなくて失敗になってしまう。これに関しては「堂」に限らず似たような冠を持つ漢字全体に言えることなので意識する機会は多くなりますね。
で、「口」「土」を順に書いてフィニッシュ。この時も冠+口+土の横画の間隔を等しくするとか、左右がほぼ対称になるようにするそのバランス感覚とかを意識するのがこのセクションの楽しいところだったりします。

 

 

4文字目は『千』。
上に書かれた「堂」のおかげで中心の縦画がどこに来るのかわかっているのでそれに合わせて1画目2画目を配置する簡単なお仕事。左右のバランスと大きさくらいですかね後は。「千」に限らず画数の少ない漢字や平仮名カタカナに関しては他より少し小さめに書くことでバランスが取れるらしいです。理由はよくわかりませんけどでも実際それでうまくバランス取れるんですよね。文字に占める「何もない空間」の割合とかそういう話なんですかね?
ああそうだ、3画目の書き出しは1画目に少し触れるくらいのところでちょん、と「ため」を作ってから下に下ろすのが個人的な好みです。色々試しててここに落ち着きました。

 

 

そしてラスト、『鶴』。
満を持してラスボス。総画数とか構成パーツの圧。ここを書いてる時が一番緊張します。
先ほど「堂」のところでも話した通り私は左払いがとにかく好きなようで、こちらでも3画目の左払いを結構力任せに払ってしまいがちなんですが、少しセーブしてバランス意識。でもやっぱりこういう「はらい」の瞬間が好きです。
そのあと「ふるとり」が続くんですけど、鶴の4画目、ふるとりでいう左の縦画って適当に書くと短くなりがちじゃないですか?自分だけ?そこが短くなっちゃって、結局そのあと点うって横画縦画書いてっていうのを普通にやると左下に縦画が短い分の空白ができちゃったりするんですよ。個人的にはこういう空きの部分好きなんですけどどうなんですかね?
で、右側。鳥。
横画の間隔をそろえながら描き進めていって、最後に横画大きく引っ張ってぐあって曲げるあの画は勢いがあって楽しいポイント。3画目の左払いで大きく書き過ぎたらここを少し広めにしてバランスをとれるのでここのリカバリパート感も好き。
そして最後に鳥の足ともいうべき4つの点を書き入れて仕上げ。この点を書き上げる部分、ほんとに最後の仕上げとしての「画竜点睛」って感じでフィニッシュにぴったりだと思うんです。だから1セット仕上げたときのやり切った感が半端ない。
画竜点睛ってお前「ガリョウテンセイ」じゃなくてこれじゃあ「ショカクテンソク」じゃないのってツッコミは置いときましょう。(蛇足か?)

 


全体としてみたときに、画数の多い漢字と少ない漢字が混在していることに由来するメリハリがあって、それでいて全体的に角ばった統一的な印象があるので好きなのかなあと勝手に思っています。

 


ここまで書いておいて何をいまさらって感じなんですけど感情、特に美的感覚を言語化するのって本当に難しいですね。

ああそうだ、書くまでもないかもと思ったんですけど一応書いときますが、私は別に書道で何段とかそういうのも何でもないただの素人なので、上の文章に対して合ってる間違ってるなどといわれてもそれこそ「はあそうですか」になるのであしからず。

 

 

 

 


で、どうしてこんなふうにこんなことを思うようになったかという話なんですけど、ここ半年くらい暇潰しに文字を書いてるんですよ。字をきれいに書く練習を兼ねて。
方法は簡単、思い立った時に白紙とシャーペンを用意して、何か思いついた言葉を丁寧に書きなぐり続ける。


元々は担当アイドルの名前とか歌詞の一節とか、その場で思いついた適当な単語(例えば「組織犯罪対策課」みたいな)とかを書いてたんですよ。
で、その題材に何書こうって思った時に「ミリオンライブのアイドル52人の名前順番に書いたれ」って書いたことがあって、そん中で気づいたんですよね。

 

……さて。
そもそもこんなことを始めたきっかけは半年前くらいにTLに流れてきた何かの答案があまりに汚い字で、「これ人に読ませる気がないな、傲慢だな、ああはなりたくないな」と独善的に思ったのが最初だったんです(この思考回路に関しては今でも時々考えるたびに自分の心の狭さに帰結するんですが、この時私は何を思っていたんでしょうか。今ではわかりません)けど、気づけばただの作業になってました。当初の目的通り字は綺麗になったので、自分では満足してます。そして多分この暇潰しは今後も続くことでしょう。以前910とは関係ない別の友人にこのことを話したら、私の部屋にあるルービックキューブを指しながら「アレみたいなもんだろ」といわれてひどく納得した覚えがあります。

 

 

「字なんざ読めれば、形が合ってればそれ以上は別に心底どうだっていい」という人にとっては最初から最後まで意味の分からない文章だったと思うんですが、まあこんな機会でもなきゃ書かない内容なんで。

 

それにしても、アドカレにこれを書こうって当初から決めてたのに、なんか一周回ってタイムリーになった気がします。

 

最後に今日一番うまく書けた「二階堂千鶴」を貼って〆ようかと思います。

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それでは。